今のST4sを購入する2年と8ヶ月前、ケルンショーでST4sが発表になったとバイク雑誌で知りました。
この記事を見た時、これだ!と思ったのです。ドカティが自分の為に作ってくれたバイクだと。
いろんなメーカー、いろんなエンジン型式のバイクに乗ってみたいという思いはCBR400Fに乗っていた時から持っていました。限定解除して(当時は試験場でしか大型2輪の試験は行われなかった)、フト通りかかったバイク屋で見つけた750PASO。これがいい、今まで仕事に頑張ってきたんだから自分へのプレゼントだと購入したのです。

中古雑誌に掲載されていたDUCATI 750PASO
雑誌から切り抜いた写真と車検証のコピーをアルバムに残しています。
この車両を実際に購入したのですが…。
購入前は、実際に乗ってみたけど調子がいいとか、何かあったらすぐに持ってきて欲しいとか言ってたんだけど、バイク屋が。このバイク屋は信頼できると思ったんですけどね。若気の至り、浅はかでした。
実際は…。
調子最悪。納車その日にエンジン止まってかからなくなった。
プラグをかぶらせてしまったのだろうと家まで押して帰って、後日カウルを外して燃料タンクを外して、エアクリーナーボックスを開けると、エアークリーナーが入ってなかった!正確に書くとTシャツの切れっ端を2重にして輪ゴムでくくりつけてるだけだった。早速バイク屋に電話してそことを伝えると、「エアークリーナーが無くても大丈夫なようにセッティングしています」。実際にエンジン止まっちゃったんですけど。プラグを交換したらエンジンはかかったのだけど、4500回転以上回らなかった。
やはりバイク屋行きでいろいろセッティングしてこれで良いでしょうと走り出したが200m走って止まってしまった。「時間を下さい」とそのまま入院。「お願いします」とバイク屋を後にしたが、段々腹が立ってきた。翌日、「バイクを取り替えたい」と電話。それからもめてしまって…。
PASOは直った。試乗して調子も良くなった。でも、新たにリアサスからのオイル漏れを見つけてしまった。
バイク屋曰く、
「中古車は前のオーナーが手放した状態でお渡しする事になっている」とか、「部品代が…」とか、「程度はあまりよくない」とか。
呆れちゃって、そのまま保留にしました。エアークリーナーが付いてない、外してあるということはそれなりの使い方をしていたはず、エンジンも距離以上に傷んでいるかもしれない。ついうっかりならまだしも、意図的だからどうしても納得できない。
今だったら他に対処法もあるけど、当時はどうしていいのかわかりませんでした。相談できる人もいませんでした。それにバイクに興味を持っている自分がバカバカしくなってしまって。すっかりと“熱”が冷めてしまいました。
当時はまだまだバイクは若者の乗り物。当然、社会経験が浅い。そんな人間を食い物にするバイク屋も多かったと思うのです。もちろん、きちんとしたバイク屋もたくさんあっただろうけど、と同時にこんなバイク屋も多かっただろうと。
でもね、このままバイクをやめてしまうと今までの熱意はなんだったのだろうと。あっちこっち行きたかったのではないか?その為にはバイクが必要。その為のバイクにすべき。
決断がつかないままズルズルと時間だけが過ぎ、ある日、閉店後のショールームを見るとPASOに値札が付いていた!そこでようやく決心が付いて売却。1993年の事でした。
今ではこのバイク屋、ありません。既に閉店しています。デタラメなことをしているとこうなりますよという戒めにしています。こうするしかこの経験を生かす方法がないのですが。いつもの慣熟走行で“スカイツリーコース”を走る時、このバイク屋、元バイク屋の前を通るのです。今は建物が解体され別の店舗になり、敷地のみに当時の面影が残ってます。それでもつい、チラッと見てしまうのです。オレもしつこい。

いつだったか、オークションか何かで出品されていた750PASO。画像だけ頂きました。
空冷エンジン、オイルクーラーを2つ装備。
しかもこのオイルクーラー、なんとFRP製のカウルにラバーを介してのマウント。フレームからステーを介して取り付けられているのではなかったのです。カウルも不思議な取り付け方でカウルをバラスと燃料タンクがグラグラになるが、取り付けるとあら不思議、しっかりと固定される。結構手が込んでいるように思えたドカティには珍しい角パイプフレーム。角パイプフレームを搭載したドカティは906PASO、907I.Eの他にインディアナ650、750というアメリカンモデル(!)だけではないか。当時はカジバ・ドカティ。
シートが滑りやすいとか、燃料コックがチャチだとか、燃料キャップからガソリンが滲み出るとか、メインスイッチ、燃料キャップ、メットホルダーのキーがバラバラだとか、センタースタンドが重くて上げられなかったとか(ステーが短い上、“持つところ”が無かった、906以降はアシストバーが取り付けられた)、インジケーターランプが暗いとか(サイドスタンド警告灯もあった)、そんなウィークポイントもあった。
信号待ちで止まるとジワジワと股が熱くなって、走り出すとスーっと冷えてくる。
あのバイク見て見て~と、女性から指さされたこともあった。
人気は無いのだがデザインはきれいだと自分は思う。
設計は今は亡きマッシモ・タンブリーニ氏。
ボディカラーはレッドとホワイト。ホワイトは日本向け専用だったと記憶。
空冷でフルカバードでも、走行中の冷却は“裸”よりもいいらしい。

PASOのメーター。
左から燃料計、スピードメーター、時計、タコメーター、油温計。
今でも乗ってみたい気がする…。
1997年、GPZ1100に乗り換えたのですが、候補に挙げたのが750PASO。雑誌で見つけたのです。そのPASOは車検残が1年10ヵ月あって、走行距離2300km。しかも、試乗までさせていただきました。ミッションはカチッカチッとしたフィーリングでまだあたりの取れてない極上車だったのです。が、使い方を考えてやめてしまいました。
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